時間・量子測定・準古典近似の理論と実験?古典論と量子論の境界?【中止】

整理番号 20200014
種別 一般研究-研究集会(Ⅰ)
研究計画題目 時間・量子測定・準古典近似の理論と実験?古典論と量子論の境界?【中止】
研究代表者 丹田聡(北海道大学工学部トポロジー理工学教育研究センター・教授)
研究実施期間 2022年2月16日(水) ~ 2022年2月17日(木)
研究分野のキーワード 時間作用素、不確定性原理、準古典近似、量子測定
目的と期待される成果 本研究集会は「時間・量子測定・準古典近似」の哲学・理論・実験・応用に関する情報交換・意見交換を目的とする.「時間」や「古典論と量子論の境界」で活躍する国内外の理論系の研究者と実験系の研究者が情報・意見交換し, 「時間,測定,準古典近似」に対する認識を深め, 産業に貢献するための問題点や理論的な課題を明白にしたい.


(量子測定)量子力学の創始者ハイゼンベルクは1927年不確定性原理を発見した. その衝撃的な帰結は「位置・運動量の同時測定は原理的に不可能」というものであった. しかし, 小澤正直は「小澤の不等式」を数学的に導き, ハイゼンベルクの不確定性原理が破れ, 位置・運動量の同時測定が可能であることを示し世界にセンセーションを巻き起こした. 2012年に当時ウィーン工科大/北海道大の長谷川祐司は「小澤の不等式」を中性子線を使って検証し世界中を驚かせ, さらに2015年の重力波発見には「小澤の不等式」が大きな貢献をしたことは記憶に新しい. 量子測定理論の最先端の話題を提供してもらう.

(時間)「時間」に関してもエネルギーとの不確定性原理が信じられているが, その正確なステートメントは未だ確定しておらず, さらにパウリは「時間はオブザーバブルではない」と公言した. しかし, Eric Galapon と 新井朝雄が自己共役作用素としての時間の存在を数学的に示しパウリの主張は破れた. さらに, 丹田・中津川らはこの時間の存在の傍証となる「新井・宮本の不等式」を時間結晶を使って実証しようと現在試みている. また世界には多くの「時間」の理論的な研究者が存在する. スペインには大きなグループ(Galapon, Egusquiza)があり書籍も出版している.さらに実験室ではアト秒(水素原子の直径を光が通過する時間が0.35アト秒,水素原子内の電子の周回運動に要する時間が150アト秒)という凄まじく短い時間を実現できるようになってきた. また, 昨今脚光を浴びている量子ウォークでも,それに付随した時間作用素の研究が進んでいる. 「時間」に関する実験,理論の専門家に最先端の話題を提供してもらう.

(準古典近似)準古典近似では量子的な描像からプランク定数ゼロの極限で古典的な描像を導き出す.
ウイグナー測度による準古典近似は数学者のP.L.Lionsらによって始められたが, Z.Ammariらはそれを無限次元に拡張した.
その理論的な研究者としてZied Ammari, Marco Falconiらに講演してもらう.

組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
三宮俊(株式会社リコー・研究員)
丹田聡(北大工学部トポロジー理工学教育研究センター・教授)
廣島文生(九大数理・教授)
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