進化計算の数理
整理番号 | 20200017 |
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種別 | 一般研究-研究集会(Ⅰ) |
研究計画題目 | 進化計算の数理 |
研究代表者 | 濱田 直希(KLab株式会社 エンジニアリング本部 開発推進部 機械学習グループ・リサーチエンジニア) |
研究実施期間 |
2020年9月7日(月) ~
2020年9月8日(火) |
研究分野のキーワード | 特異点論, 進化計算, 最適化 |
本研究で得られた成果の概要 |
研究代表者らはこれまで,下記のIMI短期共同研究をとおして,進化計算が実応用における大域的多目的最適化問題にしばしば効果的である理由を数学者とともに研究してきた. 2017年「ベクトル値滑層分割Morse理論の構築による多数目的最適化問題の解集合の可視化」 2018年「多目的最適化と特異点論:パレート点の特異型の分類」 2019年「実践と数理に根ざした多目的最適化ベンチマークの開発」 これらの共同研究から,進化計算の振舞いへの数理的な理解を深める様々な成果が得られた.これを受けて,今まで10名程度のメンバーで進めてきた共同研究の輪を超えて,より広く分野間の交流を促進するため,本研究集会を開催することとした.研究集会には主に数学と進化計算の分野から140名の参加者が集まり,大変活発な分野間交流が行われた. 本研究集会における寺本氏,一木氏,溝田氏,早野氏,櫻井氏の講演は,研究代表者との共同研究の途中経過をまとめたものである.すなわち,現在5件の共同研究が進行中であり,いずれも論文を執筆中である.そのほか,既に出版された共同研究の成果を応用して,解集合の大域的構造を活用した進化計算アルゴリズムに関する共同研究も進めている.また,研究代表者の所属するKLab株式会社では,一連の共同研究の成果を応用したゲームAIの開発にも取り組んでいる. 加えて,上記の2019年IMI短期共同研究から発足した進化計算学会 実世界ベンチマーク問題分科会は,これまで有志によって行われていた進化計算コンペティションの運営を引継ぎ,コンペティションのシステムOptHub (https://ec-comp.jpnsec.org) を開発した.このシステムは,コンペティションの運営を円滑化するとともに,コンペティションを通じて最適化の実問題やその解データを収集し,オープンデータベースとして一般公開するものである.ここで蓄積したデータを用いて,一連の共同研究で構築した数学理論が実問題で成立するかを検証したり,その理論を進化計算分野に普及したりする取り組みも進めている. 以上のように,本研究集会および一連の共同利用を通して,数学と進化計算の橋渡しをする活動へと発展しており,複数の学術的成果が得られつつあるとともに,それらの成果をゲーム産業に応用する取組みもスタートしている.全体として,一連の共同利用から派生した諸活動は非常に順調に発展していると考える. |
組織委員(研究集会) 参加者(短期共同利用) |
濱田 直希(KLab株式会社 / 理研AIP・リサーチエンジニア / 客員研究員) 穴井 宏和(富士通株式会社・所長) 梅田 裕平(富士通株式会社・主任研究員) 千葉 一永(電気通信大学・教授) 佐藤 寛之(電気通信大学・准教授) 能島 裕介(大阪府立大学・教授) 加葉田 雄太朗(長崎大学・助教) 一木 俊助(東京工業大学・助教) 早野 健太(慶應義塾大学 / 理研AIP・准教授 / 客員研究員) 佐伯 修(九州大学IMI・教授) |