材料科学における幾何と代数II
整理番号 | 20210001 |
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種別 | 一般研究-研究集会(Ⅱ) |
研究計画題目 | 材料科学における幾何と代数II |
研究代表者 | 松谷 茂樹(金沢大学 大学院 自然科学研究科・教授) |
研究実施期間 |
2021年8月30日(月) ~
2021年8月31日(火) |
研究分野のキーワード | 結晶,らせん転位,結晶構造,トポロジカル欠陥,キンク現象,破壊,ゼータ関数,初等整数論の材料学への応用,曲がった量子系、点過程、パーコレーション、リーマン幾何学、代数学の材料学への応用, 幾何学の材料学への応用 |
本研究で得られた成果の概要 |
本研究集会IIは,研究集会II「結晶のらせん転位の数理」(2016年),研究集会I「結晶の界面,転位,構造の数理」(2017年),研究集会II「結晶の転位の先進数理解析」(2018年),研究集会II「結晶の界面,転位,構造の先進数理解析」(2019年),研究集会II「材料科学における幾何と代数I」(2020年)の継続と位置付けられる研究会である. 特に,昨年実施の「材料科学における幾何と代数I」に引き続き,本研究会は材料科学と幾何学や代数学との交流を目指した.この背景には,1)技術の発展により産業界では求められる仕様が大きく変貌したこと,2)観測装置や材料の製造装置・方法が発展し,例えば原子レベルでの構造の乱れの観測や,原子レベルでの材料の制御などが可能となったこと,3)それらにより,従来材料科学で使われてきた数学だけでは表現できていない新たな観測事実や現象が生じていることがある.現在,科学・技術の言葉として,より高度な数学が望まれている.解析分野においては,既に材料科学者と数学者の交流が行われているようであるが,幾何学や代数学では,交流は限られたものとなっている.そこで,材料科学の研究者と,幾何学,代数学的手法に関わる数学者を迎えて,議論する場を提供し,相互理解のきっかけを得ることが本研究集会の目的である. 本研究会では,46名程度の参加者を得,以下の講演者に講演を頂いた.1) パーコレーション上の電気伝導特性に関して,実験観察と数値解析による研究をされている(株)デンソーの荒尾修氏,2)外的幾何学の量子効果をフラーレンにより実験的に実証し,炭素材料での幾何学と材料科学の融合を提案し,炭素系材料科学の研究をされている尾上順氏(名古屋大),3)トポロジーの視点から材料科学について研究されている下川航也氏(埼玉大学),4)リーマン多様体上で弾性論を定式化などの研究をされている堀川由人氏(大阪大学),4) トポロジー最適化の視点から熱伝導の材料設計などの研究をされている古田幸三氏(京都大学),5) 結晶格子の埋め込みについて微分幾何的な視点から研究されている梶ケ谷徹氏(東京理科大)にそれぞれの関連する話題について講演を頂いた. また,組織委員からは東京大学数理科学で行われている社会数理実践研究Iに関して中川淳一氏(東京大学・日鉄総研(株)), 更に上記1),2)に関わる数学的研究に関して松谷茂樹(金沢大学)が講演を行った.講演予定であった京都大学の嶋田隆広氏からの講演は,ご都合により中止となった 講演の後の質問時間や講演日の最終セッションのフリーディスカッションなどを通して議論,交流の機会を確保され,本研究集会の目的は達成されたと考えている.これが本研究集会の最大の成果であると考えている. また,本研究集会に関わる論文が本年以下のように出版されている: S. Matsutani, A novel discrete investigation on screw dislocations in the BCC crystal lattices, Mathematics and Mechanics of Complex Systems, 9 1 (2021) 1-32. |
組織委員(研究集会) 参加者(短期共同利用) |
松江 要(九州大学IMI・助教) 落合 啓之(九州大学IMI・教授) 井上 和俊(東北大学AIMR・講師) 佐伯 修(九州大学IMI・所長) 垂水 竜一(大阪大学基礎工学研究科 機能創成専攻・教授) 内藤 久資(名古屋大学多元数理科学研究科・准教授) 中川 淳一(日鉄総研株式会社/東大数理・特任教授) 濵田 裕康(佐世保高専・准教授) |