記号計算の高速化と産業課題解決への応用

整理番号 2023a006
種別 若手・学生研究-短期共同研究
研究計画題目 記号計算の高速化と産業課題解決への応用
研究代表者 石原 侑樹(東京理科大学理学部第一部応用数学科・助教)
研究実施期間 2023年11月13日(月) ~ 2023年11月17日(金)
研究分野のキーワード 記号計算(計算代数、数式処理)、グレブナー基底、限量子消去、数理最適化、実代数幾何学、準素イデアル分解、数値数式融合計算、非線形制御理論
本研究で得られた成果の概要  本研究計画は、2022年度IMI共同利用研究「限量子消去の効率的なアルゴリズムの構築と産業課題解決への応用」の継続研究である。本研究では、昨年度浮上した課題の解決を動機の1つとし、また記号計算を産業課題の解決に応用するという目的で、様々な分野の専門家を招き共同研究を行った。その結果、公開日程では、昨年度のおよそ2倍の人数である106名の方にご参加いただき大規模な研究交流がなされた。本研究で得られた成果として下記が挙げられる。

(1)これまでの記号計算の知見を踏まえた最新の研究動向の共有
(2)分野の垣根、大学・企業の垣根を超えた研究交流
(3)昨年度に提起された課題に対するアプローチについての意見交換

 まず(1)について、公開日(11/14,15)において5名の方の招待講演を実施した。その内容は記号計算を中心のテーマとし、人工知能、最適化理論、統計学、制御理論などの関わりについて、最新の研究の動向をご講演いただいた。各講演には質疑応答の時間も設けており、対面・オンラインから多くの質問が挙げられ、双方向の研究交流となった。
 次に(2)について、今回の共同利用計画では、分野、大学、企業問わず様々なバックグラウンドの方が参加された。特に企業からの参加としては、招待講演にて、Maplesoftの岩ヶ谷先生、富?通株式会社の穴井先生に産業の視点からの記号計算のこれまで、そして未来についてご講演いただいた。その中には昨今話題となっているChatGPTなどの生成AIとの関連もあり、今後の研究を考える上での重要な指針などが得られた。
 最後に(3)について、非公開日程にて昨年度の課題について議論を行なった。非公開日の初日では、招待講演のテーマの前提知識であるQE、Transformer、因子分析について参加者の間で知見を共有し、記号計算の高速化との融合も踏まえて議論を行なった。11月16日においては、昨年度のテーマであるQEについて、組織委員が開発したソフトウェア上で計算の実演を行った。11月17日においては、制御理論に関して議論を行い、参加者の間で問題を改めて共有し、課題設定を明確にした。
 昨年度ではQEに限定して研究を行っていたが、記号計算に範囲を拡張したことで、研究交流の規模拡大や課題解決へのアプローチの明確化など成果が広がったと考えられる。また今回得られた成果を元に、論文の出版やさらなる共同研究を計画している。
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
石原 侑樹(東京理科大学理学部第一部応用数学科・助教)
深作 亮也(九州大学大学院数理学研究院・助教)
池松 泰彦(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・助教)
神戸 祐太(三菱電機株式会社・リサーチアソシエイト)
岩根 秀直(リーディング・スキル・テスト株式会社・会社員)
伊藤 勝(日本大学理工学部・助教)
小林 宗広(株式会社シルフ・インスティテュート・会社役員)
湯野 剛史(九州大学大学院システム情報科学研究院・助教)
計良 宥志(千葉大学大学院工学研究院・助教)