量子誤り訂正理論の表現論的アプローチと量子人材育成
整理番号 | 2023a007 |
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種別 | 一般研究-短期共同研究 |
研究計画題目 | 量子誤り訂正理論の表現論的アプローチと量子人材育成 |
研究代表者 | 米澤 康好(Quantinuum K.K.・量子ソフトウェア アウトリーチ オフィサー) |
研究実施期間 |
2023年9月11日(月) ~
2023年9月15日(金) |
研究分野のキーワード | 量子コンピューティング、量子誤り訂正、量子人材育成 |
本研究で得られた成果の概要 |
本研究では、量子コンピューティングの現状を踏まえ、以下の二つを目的として活動した。 目的1:量子誤り訂正理論の表現論的アプローチ(9月11日、12日、非公開) 目的2:量子人材育成(9月13日、14日、15日、公開) 目的1:量子誤り訂正理論の表現論的アプローチ a.実施内容 2022年度共同利用研究計画 一般研究-短期共同研究で採択された「量子コンピューティングにおける数学的課題の探索と量子人材育成(共2022a004、組織委員:米澤康好、落合啓之、村上順)」において、量子誤り訂正技術の実装が、量子優位性の実現のカギとなる重要な課題のひとつであり、解決しなければならない課題であることを我々は再認識した。特にTuraev-Viro符号と呼ばれる三価グラフのトポロジカルな構造を利用した量子誤り訂正理論に着目し議論を行った。 b.成果 量子群の表現間の射の図式化として三価グラフが現れることはよく知られているが、Turaev-Viro符号に現れる三価グラフがそれから導出できることを確認した。さらに、Turaev-Viro符号で鍵となるF変形を量子ゲートとして具体的な記述することができた。Turaev-Viro符号における論理量子ゲートはいくつかのF変形の合成によって与えられる。 目的2:量子人材育成 a.実施内容 量子コンピューティングに限らず、機械学習などのデータサイエンスを行う際にも、スケーラブルかつセキュアなシステムであるクラウド環境を利用することは今後重要である。そこで、量子コンピューティングの人材育成を、マイクロソフトのクラウド量子コンピューティングの環境を利用して実施した。 1日目は量子コンピュータ概要の講演(Quantinuum米澤康好)、三井物産における量子コンピュータの取り組み(三井物産株式会社 濱野倫弥)、Microsoftにおける量子コンピュータの取り組みと量子クラウドコンピューティングサービス Azure Quantumの紹介(日本マイクロソフト株式会社 五十木秀一)、Quantinuum 量子SDK TKETの紹介(Quantinuum 米澤康好)を対面+ウェビナーのハイブリット形式で実施した。 2日目はQuantinuum TKETを用いた量子コンピューティングの講演(Quantinuum米澤康好)を対面+ウェビナーのハイブリット形式で実施した。Quantinuum TKETハンズオンで紹介したコンテンツは以下ページに記載している。 https://github.com/quantinuum-jp/Kyushu_IMI/tree/main/2023 3日目はマイクロソフトAzure Quantumを利用したTKETの量子プログラミング演習(Quantinuum米澤康好)を対面形式で実施した。受講者にはShorの9量子ビット符号の実装に取り組んでもらった。 b.成果 参加登録者数は71名(組織委員を含む)。様々なカテゴリーに所属されている方の登録があった。 実際に聴講した人数は、各講演でオンラインでの聴講が約20名、対面での聴講が7名であった。 以下は受講後のアンケート結果の一部 1日目の講演の満足度:大変満足34%、満足38%、普通17%、不満2% 2日目の講演の満足度:大変満足55%、満足18%、普通27% 3日目は受講者に量子誤り訂正理論のShorの9量子ビットの論理量子ビットの実装に取り組んでもらった。難易度は高かったようで、誤り訂正までの実装までは、どの受講者もたどり着かなかったが、1名の方が誤り検出の実装までを終えた。この受講者には最後に実装した内容について発表をしていただき討論の場を設け、理解を深めていただいた。 |
組織委員(研究集会) 参加者(短期共同利用) |
米澤 康好(Quantinuum K.K.・量子ソフトウェア アウトリーチ オフィサー) 落合 啓之(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所・教授) 村上 順(早稲田大学 理工学術院・教授) |