地球科学の逆問題における特異性の解明:Lie群と特異ベイズ学習理論によるアプローチ
| 整理番号 | 2026a040 |
|---|---|
| 種別 | プロジェクト研究-短期研究員 |
| 研究計画題目 | 地球科学の逆問題における特異性の解明:Lie群と特異ベイズ学習理論によるアプローチ |
| 研究代表者 | 矢野 恵佑(大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所・准教授) |
| 研究分野のキーワード | Lie群・連続対称性・特異ベイズ学習理論 |
| 目的と期待される成果 |
地球科学では地下構造推定・断層すべり推定といった高次元の逆問題が現れる。このような逆問題では、パラメータの高次元性と問題の持つ対称性から損失を最小にするパラメータが一意に定まらない「識別不能性」が現れる。この識別不能性はしばしば求解を不安定にし、推定結果の解釈を妨げてしまう。 本提案では、地球科学の逆問題においてどのような識別不能性が存在するかを、Lie群と特異ベイズ学習の理論的枠組みに基づいて解明する。具体的には、逆問題における識別不能性を、観測方程式および物理モデルから誘導されるLie群として捉え、その構造を数理的導出およびデータ解析の両面から記述する。損失関数あるいは尤度関数がLie群の作用に対して不変である場合、最適解は一意ではなく群軌道として現れ、推定の非一意性を招く。本研究では、地下構造推定や断層すべり推定に内在する不定性がどのようなLie群に起因するかを明らかにする。 さらに、Sumio Watanabeによる特異ベイズ理論の枠組みでは、実対数閾値や特異ゆらぎといった代数的不変量を用いることで、特異モデルの漸近挙動や学習の難しさを定量化できることが知られている。本研究では、Lie群に由来するパラメータ空間の縮退構造が、これらの理論量にどのように反映されるのかを解明する。 本研究の成果は、地下構造推定や断層すべり推定にとどまらず、観測制約が限られたあらゆる地球科学的逆問題に共通する理論的基盤を提供することが期待される。また、物理情報機械学習など、近年発展の著しい手法群とも高い親和性をもち、地球科学における不確実性評価とモデル解釈の高度化に寄与するものである。 |
| 組織委員(研究集会) 参加者(短期共同利用) |
矢野 恵佑(大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所・准教授) |