シェル理論・膜理論への微分幾何学からのアプローチとその建築曲面設計への応用
整理番号 | 20200029 |
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種別 | 若手研究-短期共同研究 |
研究計画題目 | シェル理論・膜理論への微分幾何学からのアプローチとその建築曲面設計への応用 |
研究代表者 | 早川 健太郎(京都大学大学院工学研究科建築学専攻・大学院生) |
研究実施期間 |
2021年2月18日(木) ~
2021年2月18日(木) 2021年2月27日(土) ~ 2021年2月27日(土) 2021年3月6日(土) ~ 2021年3月6日(土) 2021年3月12日(金) ~ 2021年3月12日(金) 2021年3月20日(土) ~ 2021年3月20日(土) |
研究分野のキーワード | 建築構造,釣合形状,施工性,シェル理論,膜理論,有限要素,線型Weingarten曲面,可積分幾何,離散微分幾何学,幾何学的変分問題 |
本研究で得られた成果の概要 |
建築のデザインや構造設計では,大空間を覆うシェル構造や膜構造の形状を,意匠性のみならず,力学的観点や幾何学的観点から導くのが望ましい。構造物の構成材料の力学特性を十分に生かすためには,曲げやせん断力が発生せず,面内膜応力で釣り合う形状が理想とされている。こうした曲面の幾何学的特性による決定方法は逆吊り下げ曲面や極小曲面など古典的な曲面クラスに限定されている。一方,数学的には,法線方向に一定の外力が作用するときに面内膜応力で釣合う曲面クラスがRogers and Schiefにより示されている。しかし,この曲面の力学的性質を活用した建築での応用例は確認されておらず,その有用性を示す必要がある。こうした背景をふまえ,数学・建築双方の視点からシェル理論・膜理論を理解することで,釣合条件を満たす,あるいは力学的性能と施工性を両立する新たな曲面形状決定手法を構築し,建築設計に用いられる曲面クラスの拡張に寄与することを目的として本共同研究を計画した。 本共同研究の成果として,Rogers-Schief 論文の数学・建築双方の視点からの理解と整理を行い,シェル・膜構造等の面内応力で釣り合う曲面構造の釣合式とGauss-Codazzi方程式を対として得られる曲面クラスの条件を確認した。また,建築曲面構造の設計への理論の応用可能性の検討を行い、釣合条件を満たす,または力学的性能と施工性を両立する形状決定手法の構築方法の検討を行った。さらに,面内応力で釣り合う曲面の一つとして離散曲面モデルに対する Discrete isothermic surfaceの構築方法を提案し、力の釣り合い条件を表す曲面(force surface)の構築と釣合状態にある曲面(form surface)への変換の検証を行い、極小曲面(Catenoid)に対する妥当性を確認した。 本共同研究で得られた曲面の例はRogers-Schief論文等で提示されている曲面クラスの一部分であり,さらなる拡張が見込まれる。また,Rogers-Schief論文とgraphic staticsなどの既往研究との間に関連性が見出され,関連理論の統一的な整理の検討も今後の可能性として挙げられる。 |
組織委員(研究集会) 参加者(短期共同利用) |
軸丸 芳揮(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・学術研究員) 横須賀 洋平(鹿児島大学学術研究院理工学域工学系・准教授) 可香谷 隆(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・助教) 林 和希(京都大学大学院工学研究科建築学専攻・大学院生) 堺 雄亮(京都大学大学院工学研究科建築学専攻・大学院生) |
アドバイザー | 梶原 健司(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・教授) |