離散膜O曲面論と図式力学を活用した建築曲面設計手法の開発

整理番号 2022a034
種別 若手・学生研究-短期共同研究
研究計画題目 離散膜O曲面論と図式力学を活用した建築曲面設計手法の開発
研究代表者 軸丸 芳揮(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・学術研究員)
研究実施期間 2022年5月12日(木) ~ 2022年5月12日(木)
2022年5月26日(木) ~ 2022年5月26日(木)
2022年6月9日(木) ~ 2022年6月9日(木)
2022年6月23日(木) ~ 2022年6月23日(木)
2022年7月7日(木) ~ 2022年7月7日(木)
研究分野のキーワード 建築構造 釣り合い形状 施工性 シェル理論・膜理論 離散微分幾何学 可積分幾何 図式力学
本研究で得られた成果の概要 建築のデザインや構造設計では,大空間を覆うシェル・膜構造の形状を力学的・幾何学的観点から導くことが望ましい.シェル構造の剛性を効率的に利用するためには,荷重に対して曲げが生じず,面内膜応力のみで釣り合う形状が理想とされるが,幾何学的特性による従来の形状決定手法では非常に狭い曲面クラスのみを扱ってきた.
一方で,滑らかな曲面の法線方向に定荷重が作用するとき,曲率線座標方向に面内せん断が生じない膜の釣り合い式とガウス・コダッチ方程式を対として得られる非線型方程式系が「膜O曲面」と呼ばれる可積分系をなすことがC. RogersとW. K. Schiefによって示され,可積分性を保つ離散化理論も提唱された.
研究代表者らは,令和2年度短期共同利用研究「シェル理論・膜理論への微分幾何学からのアプローチとその建築曲面設計への応用(研究代表者:早川健太郎)」において初めて,膜O曲面論の建築曲面設計への応用に関する検討を行ったが,離散膜O曲面論を活用した実装には至っていない.
本共同利用研究においては,W. K. Schief教授の論文(Proc. R. Soc. A, 2014)において提唱された離散膜O曲面の基礎理論と図式力学の手法を活用し,与えられた荷重に対して好ましい力学的特性と施工性を両立する,新しい曲面形状決定手法をCADソフトウェアRhinoceros上で実装することを目標とした.
主な成果は下記の通りである:離散曲率線網および離散極小曲面を含めた離散双等温網の生成プラグインの作成,および離散膜O曲面論を活用し,形状・荷重・境界反力を指定した際に,辺に直交する応力ベクトルによって釣り合う場合の応力分布を自動出力するプラグインを作成した.また離散正則函数を活用したMichellトラス型構造を提案し,この構造には可積分幾何・構造安定性・美的性が共存する数学・建築の双方から興味深い対象であることが明らかとなった.
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
横須賀 洋平(鹿児島大学学術研究院理工学域工学系・准教授)
林 和希(京都大学大学院工学研究科建築学専攻・助教)
早川 健太郎(京都大学大学院工学研究科建築学専攻・博士後期課程3年)
八木 孝憲(Taiyo Europe GmbH・General Manager of Global Engineering)
鈴木 奨之(太陽工業株式会社・設計職)
堺 雄亮(株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 京都研究室・アソシエイトリサーチャー )
水谷 圭佑(日建設計 Digital Engineering Lab・コンピュテーショナルデザイナー)
アドバイザー 梶原 健司(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・教授)