離散構造における不変量の研究

整理番号 2023a002
種別 一般研究-研究集会(Ⅱ)
研究計画題目 離散構造における不変量の研究
研究代表者 三枝崎 剛(早稲田大学 理工学術院・教授)
研究実施期間 2023年6月22日(木) ~ 2023年6月22日(木)
研究分野のキーワード 誤り訂正符号,格子,超平面配置,グラフ,マトロイド,重み多項式,Whitney多項式,Tutte多項式,特性準多項式
本研究で得られた成果の概要  符号やグラフ、マトロイド、そして格子という離散構造がある。符号は情報伝達の効率化・高精密化を目的として導入された概念である。また、グラフはネットワーク構造を抽象化したものに他ならない。したがってこれらの離散構造の研究は応用上も重要なものである。またマトロイドや格子は符号やグラフをより抽象化したものであり、これらの研究も多くの応用数学者から注目を集めている。
 符号理論の研究手法に、符号の情報を重さ多項式と呼ばれる多項式に置き換え、その多項式の数学的性質を通して符号を研究しようというものがある。この手法から符号理論は、応用数学のみならず、群論、整数論、数理物理との関係が明らかになり、純粋数学からも現在重要視されている。
 この重さ多項式は、近年多くの概念へと一般化された。例えば小関道夫氏(山形大学名誉教授)によるヤコビ多項式、Christine Bachoc氏(Univ. Bordeaux)による調和重さ多項式などである。一方マトロイドにはコバウンダリー多項式、特性多項式という不変量がある。近年、特性準多項式と呼ばれる多項式族へと一般化されている。
 本研究集会では、これらの最近の進展を、符号理論研究者、マトロイド研究者、グラフ理論研究者と共有することを目的とした。具体的には以下の講演が行われた:
〇中島規博氏(名古屋工業大学)による、符号理論と超平面配置の多項式不変量の関係(重さ多項式とコバウンダリー多項式)の解説
〇大浦学氏(金沢大学理工研究域)による、符号理論における重さ多項式の一般化であるヤコビ多項式の解説、そしてデザイン理論への応用
〇阿部敏生氏(国立都城工業高等専門学校)による、多項式を用いたグラフ不変量であるk-選択可能の判定に関する解説
〇東谷章弘氏(大阪大学大学院情報科学研究科)よる、超平面配置の特性準多項式に定義されている2つの周期が一致しないという現象の解説
〇長岡昇勇氏(近畿大学名誉教授)による、Niemeier 格子のテータ級数たちを、コクセター数を用いて表現する公式の解説
 それぞれの講演に対して多くの質問やコメントがあり、有意義な研究集会となった。例えば中島規博氏の講演に関して「重さ多項式の準多項式類似は存在するか」、大浦学氏の講演に関して「ヤコビ多項式の斉次型、非斉次型の2種類の関係」、長岡昇勇氏の講演に関して「符号と格子の結果の相違点」に関する質問があった。研究集会への参加者は16名だった。
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
三枝崎 剛(早稲田大学・教授)
中島 規博(名古屋工業大学・准教授)
大浦 学(金沢大学・教授)