Besov空間におけるKoopman作用素による力学系のデータ駆動的な構造解析手法の研究

整理番号 2024a034
種別 一般研究-短期共同研究
研究計画題目 Besov空間におけるKoopman作用素による力学系のデータ駆動的な構造解析手法の研究
研究代表者 石川 勲(愛媛大学・データサイエンスセンター・准教授)
研究実施期間 2024年6月6日(木) ~ 2024年6月7日(金)
研究分野のキーワード Koopman作用素, 合成作用素, Besov空間, 力学系, 位相的データ解析
本研究で得られた成果の概要 今回の共同利用研究の懸案である一般次元のユークリッド空間上のBesov空間におけるKoopman作用素の有界性と力学系の性質の関係性について、共同利用での集中的な議論を通して、2022年度の共同利用研究で取り扱った1次元の場合の結果を高次元に拡張する上で、ユークリッド空間に定まる力学系の種類が1次元に比べて格段に多様になることで、既存の証明のテクニックが直接適用できなくなることが浮き彫りになった。例えば、$1$次元では同相写像は自動的に単調写像になるが、$2$次元では病的な挙動をする同相写像が存在する。このようなものを取り扱うために、Besov空間におけるatom分解などの拡張といった本質的な技術的革新が必要になる。また、我々の既存のアプローチでは高いorderを低いorderの場合に帰着する帰納的な証明を行なったが、一般の次元では低いorderの場合の既存研究が充実しておらず、低いorderの場合をくまなく解決する必要性があることも判明した。一般次元に関して今後解決すべき問題が明確になり、この問題を解決できれば論文執筆をする上で十分な内容になる。

また、今回のワークショップを通じて会った研究者とKoopman作用素によるデータ解析手法を用いた新しい共同研究も始まった。具体的には離散的な状態空間における確率分布の時間発展を記述する力学系をデータ駆動的に復元する研究と、神経活動の時系列データから神経活動を支配するダイナミクスを推定する問題である。これらの研究も論文としてまとめられるよう進めていく予定である。
組織委員(研究集会)
参加者(短期共同利用)
池田 正弘(理化学研究所・研究員)
谷口 晃一(東北大学・助教)